Mountains Lifesaver
"山岳救助"に対応できる
救急救命士・柔道整復師の育成
昼間部・2年次選択コース
平成19年4月20日、長野救命医療専門学校の2年生を対象とした全国で初となる、山岳救命コースが開設されました。
このコースは、長野県をはじめ、毎年全国各地で発生する山岳遭難事故において活躍できる救急救命士、柔道整復師を養成することを目的としています。全カリキュラム受講生には本校認定の「山岳救命士」の資格が授与されます。
山岳救命士とは
山中では、自然環境の変化や少しの気のゆるみ、疲労などで転倒、滑落による怪我や体調不良を起こすことがあります。それが原因で、自力で下山できなくなるのが山岳遭難です。救助が遅れれば、生命に関わる重大な事故に繋がり兼ねません。 山岳救命士は、山岳遭難等により負傷した重度傷病者を搬送する間に、山中において救急救命処置や応急手当を行います。本校では、救急救命士や柔道整復師の知識や技術に加え、山岳救助に関わる専門的な知識等を身に付ける目的で山岳救命コースを設置しました。山岳救命士は救助だけでなく、山岳遭難を予防するためにも、重要な役割を果たすと期待されています。
山岳救命コースの特色
長野県は、山岳の多い地帯として知られ、近年の登山ブームやキャンプブームにより若者から高齢者まで、幅広い年齢層の登山者が県内外から訪れます。それに伴い、山岳遭難の事故件数は全国で最も多くなっています。また、全国の山岳遭難件数も年々増加傾向にあります。山岳遭難事故の救助には高額な費用が掛かり、長野県の予算で賄っているのが現状です。その中で特に大きな負担になっているのが、要救助者を迅速に搬送するために使われる救助ヘリの出動経費です。
そのような実情を踏まえ、本校では平成19年4月より、救急救命士学科、柔道整復師学科の学生を対象にした選択コース「山岳救命コース」を設置しました。山岳救命に関する専門知識や技術が修得できるカリキュラム編成で、全国の山岳救命に対応できる救急救命士、柔道整復師の育成を目指します。これにより、山中における要救助者の応急手当やけがの治療、搬送をより専門的に行うのが山岳救命士です。そのためには救急救命士、柔道整復師としての知識だけでなく、山岳に関する基礎知識も必要となります。
本校で開講している山岳救命コースの講師には、長野県山岳協会の全面協力のもと、県内各地区の山岳遭難防止対策協会(遭対協)、山岳ガイド、登山医学に造詣の深い医師、弁護士など山岳救助の専門の先生方を招聘し、密度の濃い授業が展開されています。また、年4回の校外実習では、普段は学校内で行われている救助訓練を実際に足場の悪い山中で経験します。全てのコースを受講した学生には、長野救命医療専門学校認定の「山岳救命士」の称号が付与されます。
カリキュラム
Curriculum
講 義
①登山の基礎技術Ⅰ
②登山の基礎技術Ⅱ
③日本の山岳・日本アルプスの自然特性
④安全登山と山小屋Ⅰ
⑤安全登山と山小屋Ⅱ
⑥登山の医学Ⅰ
⑦登山の医学Ⅱ
⑧遭難事例と遭難救助Ⅰ(八ヶ岳)
⑨遭難事例と遭難救助Ⅱ(北アルプス北部)
⑩遭難事例と遭難救助Ⅲ(北アルプス南部)
⑪遭難事例と遭難救助Ⅳ(中央・南アルプス)
⑫山岳救助における安全対策⑬事故と法的責任
実 技
①登山の基礎(実地演習)
②春山登山実習
③夏山登山実習
④雪上合同訓練