柔道整復師になるには?専門学校?大学?メリット・デメリットを比較検討!
接骨院・整骨院の先生として知られる柔道整復師。柔道整復師免許の資格取得を目指しているけれど、職業教育機関の「専門学校」と研究機関の「大学」のどちらに進むべきか。「柔道整復師になるにはどっちがいい?」そのような進路に迷う、高校生や社会人等の受験生のための情報です。
本記事では、それぞれの進路の特徴を徹底比較し、メリット・デメリットを詳しく解説します。
学費やカリキュラム、資格取得後の就職先の違いなど、進路選択に欠かせないポイントをわかりやすく紹介。さらに、後悔しない学校選びのコツについてもお伝えします。
自分に合った学びの場を見つけ、夢である柔道整復師のスペシャリストを目指し、第一歩を自信を持って踏み出しましょう!
1.柔道整復師を目指す方へ——専門学校と大学、どちらを選ぶべきか?
柔道整復師を目指すうえで、「柔道整復師の専門学校」と「大学」のどちらに進学すべきか迷う方も多いでしょう。何年かかるにしろ、どの学校を選んでも、学校種も関係なく柔道整復師免許を取得する学習内容は、国でカリキュラムが決められています。もちろん、学校により各校それぞれに異なる特色があり、自分の目標や学び方に合った選択が重要です。
専門学校では、現場ですぐに役立つ実践的なスキルを中心に学べるカリキュラムが組まれており、即戦力としての力を養うことができます。
一方、大学では、柔道整復の専門知識に加えて、医学や福祉分野など幅広い教養や研究能力を身につけることができます。
(1)柔道整復師になるための専門学校の特徴を紹介
柔道整復師を目指すなら専門学校も有力な選択肢です。専門学校には、柔道整復師に必要な知識や技術を習得するための、集中的なカリキュラムや、卒業後すぐに即戦力になるための実践的なスキル習得に特化しているというメリットがあります。一方で、学費や期間、大学との比較検討が必要となる場合もあります。そのために、専門学校のメリットとデメリットを踏まえ、自分に合った学校選びをすることが重要です。
① 専門学校で柔道整復師を目指すメリットとは?
柔道整復師になるためには、厚生労働大臣や文部科学大臣のいずれかが指定する養成施設(専門学校・短期大学・大学など)で3年以上、定められた科目を履修し、国家試験に合格することが必要です。
この点から、専門学校の最大のメリットは「最短3年間」で国家資格の取得を目指せることにあります。大学が4年制であるのに対し、専門学校は3年制のため、1年早く現場に出て実務経験を積むことが可能です。これは、少しでも早くキャリアをスタートさせたい方にとって大きな利点といえるでしょう。
さらに、専門学校は年間の学費が大学よりも低く設定されており、修業年限が1年短いことから、総額でかかる学費も抑えられる傾向にあります。経済的な負担を軽減しながら、早期に資格取得を目指したい方にとって、専門学校は非常に魅力的な進路選択です。
<専門学校で学ぶメリット>
- 効率的なカリキュラムで短い年数で資格取得
- 実践的なスキル重視で就職に有利
- 早期の就職が可能
- テーピング法、包帯法、ストレッチ法など校内実習も充実
- 学校内で臨床実習を実施
- 大学に比べ、学費が安い(平均430万円)
- 学生数が少ないためきめ細かいアドバイス
専門学校では、柔道整復師に必要な知識や技術を集中的に学べる実践的なカリキュラムが組まれています。座学だけでなく、実技訓練や臨床実習にも重点が置かれているため、現場で即戦力として活躍できるスキルを身につけることができます。3年次には実技試験(認定実技審査)があり、技術力を磨くことができます。
また、専門学校では国家資格を早期に取得し、卒業後すぐに現場で経験を積むことができるため、キャリアのスタートが早く、実務を通じてさらにスキルアップが可能です。
さらに、専門学校の設置基準には、校内の実習施設に加え、附属の接骨院(施術所)を併設することが義務付けられており、実際の臨床現場で実習を行うことができます。また、地域の接骨院と連携し実習や研修を行うこともできます。こうした環境により、より現実的で実践的な学びが得られる点も大きな特徴です。
② 専門学校で柔道整復師を目指す際のデメリット
専門学校では、柔道整復師に必要な専門知識や技術を効率的に学べるカリキュラムが整えられている一方で、大学と比較して一般教養科目が少ないというデメリットがあります。
そのため、「教養を深めたい」「幅広い分野に触れたい」といった目的で進学した場合、希望する授業を十分に受けられない可能性があります。
また、専門学校は3年間で国家資格取得と就職活動の両方を進める必要があるため、限られた時間の中で多くのことをこなさなければなりません。このように、短期間で密度の高い学習や活動が求められる点も、負担に感じることがあるかもしれません。
そのため、専門学校で学ぶ場合は、自らの目標を明確にした上で、専門分野に集中しながらも、自主的な学習や教養の習得にも意識を向ける姿勢が求められます。
<専門学校で学ぶデメリット>
- 多角的な視点の不足
- 知識の偏り
- 学習時間や就活時間の制限
これらの点から、専門学校で学ぶ場合、患者さんへの接し方や医療業界全体への理解がやや偏ってしまう可能性があります。
そのため、専門的な知識や技術の習得に加えて、幅広い知識や教養、人間性を養うための自主的な学習や社会的活動が不可欠です。
したがって、柔道整復師を専門学校で目指す場合には、授業で得られる学びを土台に、学生自ら積極的に学び視野を広げようとする姿勢が大切になります。
(2)柔道整復師になるための大学の特徴とは?
柔道整復師を目指せる大学は、専門学校と比較して学べる内容の幅が広いことが大きな特徴です。大学では「健康学部」「健康スポーツ学科」「体育学部」など解剖学や生理学などの基礎医学に加え、一般教養や研究的視点も学ぶことができるため、幅広い知識と柔軟な視野を備えた柔道整復師を目指すことが可能です。
一方で、学費が高額になる傾向があることや、実習時間が比較的少ないこと、国家試験対策に特化したカリキュラムが少ないことなど、いくつかのデメリットもあります。
そのため、大学進学のメリットとデメリットを十分に理解し、自分の将来像や学びのスタイルに合った進路を選択することが大切です。
① 大学で柔道整復師を目指すメリットとは?
大学で柔道整復師を目指すメリットは、幅広い知識と教養が身につく点です。
大学では、柔道整復に関する専門知識だけでなく、人文科学、社会科学、生物学、語学など、幅広い分野を学ぶことができます。
<大学で学ぶメリット>
- 広い視野が得られる
- レポートや論文作成など研究能力が身につく
- 4年制大学卒業資格
- 将来の選択肢が増える
- 長い学校生活
これらの学びを通じて、患者さんを多面的に理解し、より適切な施術を提供するための基盤を築くことができます。さらに、研究能力を養える環境が整っているため、将来的に研究者や教育者としての道を目指すことも可能です。
専門学校と比べて学費は高額になる傾向がありますが、4年制大学卒という学歴は、将来的なキャリアアップや進路の選択肢の広がりにもつながります。
以上のことから、大学で柔道整復師を目指すことは、専門知識の習得にとどまらず、人間性を深め、将来の可能性を大きく広げる選択であると言えるでしょう。
② 大学で柔道整復師を目指す際のデメリット
大学で柔道整復師を目指す際のデメリットは、学費の高さと臨床経験の不足が挙げられます。
大学の学費は、専門学校と比べて高額になる傾向があります。4年制大学の場合、授業料を含む学費の総額は平均で約660万円、中には800万円前後かかる大学もあり、専門学校のおよそ1.5倍の費用が必要です。さらに、東京などの都心での生活を考えると、総額で1千万円を超えることもあります。
また、大学では専門科目に加え、研究活動や一般教養科目にも時間が割かれるため、柔道整復術の専門的な知識や技術の習得にかけられる時間が限られる場合があります。
一般企業に就職する場合は、大学卒業者の方が専門学校卒業者よりも給与が高くなる傾向がありますが、接骨院は個人経営が多いため、学歴による給与差はほとんどありません。さらに、独立開業を目指す皆さんにとっては、学歴は全く関係ありません。
<大学で柔道整復師を目指すデメリット>
- 学費が高額になる(平均660万円)
- 臨床経験が少ない
- 卒業までの期間が長い
- 初任給は専門学校卒と同じ
- 国家試験対策の時間が少ない
さらに、大学によっては臨床実習の時間が十分に確保されていない場合があり、卒業後すぐに現場で活躍するために必要な実践経験が不足する可能性があります。一方、専門学校では臨床実習に多くの時間を割くカリキュラムが組まれており、より実践的なスキルを習得しやすい点が大きな強みです。
こうした点から、学費面での経済的負担や卒業生の臨床経験の不足といった要素を踏まえると、大学進学にはデメリットとなる側面があると言えるでしょう。
2.学費から見た学校選び
柔道整復師を目指すにあたり、専門学校と大学では学費に大きな差が生じることがあります。
学費は、進学先を選ぶうえで非常に重要な要素のひとつです。一般的に、専門学校の方が大学よりも学費を抑えられる傾向にあります。
では、なぜ大学の学費は高くなるのでしょうか?
<大学の学費が高くなる主な要因>
- 施設設備費(実習室や教室以外にも設置基準が厳しい)
- 実習費(高度な実習設備の維持管理費)
- 教材費(一般教養科目など多様な教材費)
- 授業時間数(教養科目を含めた授業数が多い)
- 教員の人件費(教授陣の給与が高い)
これらの要素が大学の学費を押し上げ、専門学校との間に費用面での差が生まれます。
進学を検討する際は、学費だけでなく、奨学金制度や学費サポート、特待生制度などの支援制度も含めて、総合的に判断することが大切です。
3.就職から見た学校選び
柔道整復師を目指すうえで、資格取得後の就職先は非常に重要なポイントです。
柔道整復師の活躍の場は年々広がっており、以下のような多様な分野での就職が可能です。
<主な就職先>
- 整骨院・接骨院
- 病院・整形外科
- 介護・福祉施設
- スポーツトレーナー
- 独立開業
整骨院や接骨院は、柔道整復師の最も一般的な就職先です。
また、病院や整形外科では、医師の指示のもとでリハビリや機能回復訓練などを担当します。
高齢化が進む中で、介護・福祉施設におけるニーズも増加傾向にあります。さらに、スポーツ分野では「スポーツトレーナー」としてアスリートをサポートする道もあります。
そして、経験を積んだ後には、独立開業して自分の接骨院を運営するという選択肢もあります。
就職先を選ぶ際には、自身の興味・強み・将来のキャリアプランを踏まえて、最適な進路を見つけることが大切です。
4.柔道整復師になるための学校選びのポイント
柔道整復師を目指す上で、学校選びは将来のキャリアに直結する大切な選択です。
特に注目すべきポイントは、教育内容・学費・将来のキャリアパスの3つですが、なかでも以下の要素を重視しましょう。
<学校選びの3つのポイント>
- カリキュラムの内容
➡ 実技と座学のバランス、臨床実習の充実度などを確認しましょう。 - 国家試験の合格率
➡ 高い合格率は、指導力の高さや学習環境の良さを示す指標です。 - 就職サポート体制
➡ 就職先の紹介やサポート制度、卒業後の支援体制も確認が必要です。
これらのポイントは、柔道整復師として現場で活躍できるかどうかを左右する重要な要素です。
最終的には、自分の目標や学び方に合った学校かどうかを総合的に判断し、納得のいく進路を選びましょう。