「人の命を救う最前線で働きたい」「災害時に活躍する救急救命士のようになりたい」「テレビドラマで見た救急救命士に憧れている」

そんな強い想いを胸に、救急救命士という職業に興味を持っているあなたへ。

この記事では、救急救命士になるための具体的な道のりを、誰にでも分かるように徹底解説します。資格取得の方法、国家試験の難易度、仕事のリアルな姿まで、あなたの疑問や不安を解消するための情報を詰め込みました。

この記事を読めば、夢への第一歩をどこから踏み出せば良いのかが明確になるはずです。さあ、一緒に救急救命士への扉を開きましょう。

救急救命士とは?仕事内容と活躍の場

まずはじめに、救急救命士がどのような仕事で、どこで活躍しているのか、基本的な情報から確認していきましょう。

救急救命士の主な仕事内容と役割

救急救命士法の第二条にある「救急救命士」の定義には、この法律で「救急救命処置」とは、その症状が著しく悪化するおそれがあり、若しくはその生命が危険な状態にある傷病者が、病院若しくは診療所に搬送されるまでの間又は重度傷病者が病院若しくは診療所に到着し当該病院若しくは診療所に入院するまでの間(当該重度傷病者が入院しない場合は、病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に滞在している間。)に、当該重度傷病者に対して行われる気道の確保、心拍の回復その他の処置であって、当該重度傷病者の症状の著しい悪化を防止し、又はその生命の危険を回避するために緊急に必要なものをいう。
2 この法律で「救急救命士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、救急救命士の名称を用いて、医師の指示の下に、救急救命処置を行うことを業とする者をいう。

わかりやすく解説すると、消防署に勤務する救急救命士は救急現場や救急車内で病院に搬送されるまでの間、病院に勤務する救急救命士は救急外来に到着し入院するまでの間、医師の指示の下に傷病者に対して適切な救急救命処置を行います。

具体的には、心肺停止状態の傷病者への心肺蘇生や、重篤な傷病者に対する応急処置を行います。さらに、医師の具体的な指示のもとで、特定行為と呼ばれる高度な医療行為を行うことが法律で認められています。

  • 器具を用いた気道確保 気道を確保するために、専用のチューブを口や鼻から挿入します。
  • 静脈路確保と輸液 点滴を行い、薬剤を投与するためのルート(静脈路)を確保します。
  • 薬剤投与 心肺停止状態の傷病者に対して、心臓の動きを助けるアドレナリンなどの薬剤を投与します。

これらの処置は、病院に到着するまでの間に傷病者の命を救い、後遺症を軽減するために極めて重要です。

主な就職先は消防署や病院

救急救命士の資格を取得した後、多くの人が活躍の場として選ぶのが各自治体の消防機関です。消防士として採用され、救急隊員として救急車に乗り込み、現場の最前線で活動します。しかし、活躍の場は消防署だけではありません。消防署以外には、

  • 病院の救命救急センターやドクターカー
  • 海上保安庁
  • 自衛隊
  • 警察(特殊部隊など)
  • 介護福祉施設
  • 民間の警備会社やイベント救護

このように、資格を活かせるフィールドは多岐にわたります。

「救急救命士」と「救命救急士」の違い

**「救急救命士と救命救急士、どちらが正しいの?」**という疑問をよく耳にしますが、**正式名称は「救急救命士」**です。

「救急救命士」は、救急救命士法に基づく国家資格の名称です。病院の中にある「救命救急センター」という施設名と混同し、「救命救急士」という誤った言葉を使う人がいますが、もちろん公的な資格名ではありません。この記事では、正式名称である「救急救命士」に統一して解説します。

救急救命士になるには?資格取得までの3つのルート

救急救命士になるためには、救急救命士国家試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。そして、この国家試験を受験するためには、国が指定する養成課程を修了しなければなりません。

ここでは、国家試験の受験資格を得るための代表的な3つのルートを解説します。

ルート1:救急救命士養成課程のある大学に進学

高校卒業後、救急救命士養成コースを設置している4年制大学に進学するルートです。

大学では、救急救命に関する専門知識や技術はもちろん、一般教養や関連分野の学問も幅広く学ぶことができます。

  • メリット 大卒の学歴が得られるため、将来のキャリアの選択肢が広がります。また、学生生活を通してじっくりと学びを深める時間があります。
  • デメリット 専門学校に比べて、修了までに時間がかかり、学費も高くなる傾向があります。また、消防の採用試験が「上級」になるため、難易度が上がり、採用枠も初級に比べ少なく「狭き門」と言われています。

ルート2:救急救命士養成の専門学校に進学

2年制または3年制の救急救命士養成専門学校で学ぶルートです。

専門学校では、救急救命士になるための知識と技術を実践的に、かつ集中的に学びます。

  • メリット 大学よりも短期間で受験資格を得られるため、いち早く現場で活躍したい人におすすめです。救急救命士の資格を持つことで「救急救命士採用枠」があり、無資格者より有利になります。※本校卒業生のデータ実績に基づく
  • デメリット 専門分野に特化しているため、大学のように幅広い教養を学ぶ機会は少なくなります。

 

医療系の国家資格取得を目指せる

長野救命医療専門学校

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変化の激しい医療現場において、即戦力として活躍できる救急救命士・柔道整復師。学生同士や教職員との触れ合いを大切にした学生生活の中での様々な経験を通し、社会人に欠かせない豊かな人間性を育成します。また、本校は学生の支援のために各種認定を受けています。

ルート3:消防士として採用後に養成を受ける

まず地方公務員試験に合格して消防士になり、消防学校で学んだ後、救急隊員として実務経験を積むルートです。

消防士として一定期間(通常、5年以上または2,000時間以上)救急業務を経験すると、消防庁が運営する救急救命士養成所(約6ヶ月間)に入る資格が得られます。養成期間を修了後、専門学校や大学と同様に、国家試験を受験し合格しなければなりません。

  • メリット 公務員として安定した身分と給与を得ながら、救急救命士の資格取得を目指せるのが最大の利点です。
  • デメリット 資格取得までに最も時間がかかるルートであり、まずは消防士採用試験という難関を突破する必要があります。さらに採用されても救急業務に携われるとは限らないため、必ずしも資格を取得できるわけではありません。

救急救命士国家試験の概要と難易度

どのルートを選んでも、最終目標は救急救命士国家試験の合格です。ここでは、試験の具体的な内容と難易度について見ていきましょう。

国家試験の受験資格

救急救命士国家試験を受験するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 文部科学大臣が指定した大学または厚生労働大臣が指定した救急救命士養成所(専門学校等)を卒業する
  • 消防士として救急業務を5年以上または2,000時間以上経験し、指定の養成所で6ヶ月以上の講習を修了する
  • 外国で救急救命士の資格を取得し、厚生労働大臣に認定される

つまり、前述した3つのルートのいずれかを修了することが、受験の必須条件となります。

試験科目と出題範囲

試験は筆記試験のみで、マークシート方式で行われます。出題範囲は非常に広く、人体の構造(解剖学)から臨床医学、救急処置まで、幅広い知識が問われます。

  • 基礎医学(人体の構造と機能、病理学など)
  • 臨床救急医学総論・各論(救急症候学、応急処置学、特殊病態学など)
  • 救急用器具取扱法
  • 関係法規

これらの科目を、養成機関で徹底的に学ぶことになります。

合格率から見る試験の難易度

**「国家試験って、すごく難しいのでは?」**と不安に思うかもしれません。しかし、近年の合格率は非常に高い水準で推移しています。

最新の第48回(令和7年実施)救急救命士国家試験の**合格率は94.4%**でした。 (参考:厚生労働省「第48回救急救命士国家試験の合格発表について)

この数字から分かるように、養成課程のカリキュラムを真面目にこなし、しっかりと試験対策を行えば、合格は十分に可能な試験と言えます。難易度が高いのは、試験そのものよりも、むしろ受験資格を得るまでの過程にあると言えるでしょう。

看護師から救急救命士を目指す方法

すでに看護師として働いている方の中にも、救急救命士の資格取得を考える方が増えています。ここでは、看護師からのキャリアパスについて解説します。

看護師免許取得者が受験資格を得るには

看護師の資格を持っていても、自動的に救急救命士の国家試験を受けられるわけではありません。

看護師免許を取得した後、指定の救急救命士養成所で6ヶ月以上の講習を受けることで、国家試験の受験資格が得られます。看護師としての医学知識があるため、一般の学生よりも短い期間で養成課程を修了できるのが特徴です。

ダブルライセンスのメリットとキャリアパス

看護師と救急救命士、2つの国家資格を持つ「ダブルライセンス」には、大きなメリットがあります。

  • 病院内での活躍の場が広がる 救命救急センターやICU(集中治療室)だけでなく、ドクターカーの同乗スタッフとして、病院到着前から専門的な医療ケアを提供できます。
  • プレホスピタルケアの専門家になれる プレホスピタルケア(病院前救護)の知識と、病院内での看護ケアの知識を併せ持つことで、患者さんを一貫して見ることができる貴重な人材となります。
  • 災害医療での貢献 災害派遣医療チーム(DMAT)などで、現場での救護活動と避難所での医療活動の両方で中心的な役割を担うことができます。

看護師としての経験を活かしながら、さらに活動の幅を広げたい方にとって、ダブルライセンスは非常に魅力的な選択肢です。

救急救命士の仕事のやりがいと厳しさ

憧れの職業に就くためには、その仕事の輝かしい面だけでなく、厳しい側面も理解しておくことが大切です。

命を救う最前線でのやりがい

救急救命士の最大のやりがいは、何と言っても自らの手で人の命を救えることです。

  • 心肺停止だった人が、自分たちの処置で息を吹き返した。
  • 苦しんでいた患者さんから「ありがとう」と感謝された。
  • チーム一丸となって困難な現場を乗り越え、一つの命を病院に繋げた。

このような経験は、何物にも代えがたい達成感と使命感を与えてくれます。

仕事が「きつい」と言われる理由

一方で、救急救命士の仕事が「きつい」と言われるのには、以下のような理由があります。

  • 精神的な負担 悲惨な交通事故や痛ましい現場に立ち会うことも多く、精神的な強さが求められます。努力しても救えない命があるという現実に直面することもあります。
  • 肉体的な負担 24時間交代制の不規則な勤務や、夜間の出動も少なくありません。重い機材を運んだり、傷病者を搬送したりと、体力も必要不可欠です。
  • 常に高い緊張感 一瞬の判断ミスが人の命に関わるため、常に高い集中力と緊張感を保たなければなりません。

これらの厳しさを乗り越える覚悟も、救急救命士を目指す上では必要です。

救急救命士に向いている人の特徴

やりがいと厳しさの両面を踏まえた上で、救急救命士に向いている人の特徴をまとめました。

  • 強い責任感と使命感 人の命を預かるという強い自覚を持てる人。
  • 冷静な判断力 パニックになりそうな状況でも、落ち着いて最善の行動を考えられる人。
  • コミュニケーション能力 傷病者やその家族、医師や他の隊員と円滑に連携できる人。
  • 体力と精神的な強さ 不規則な勤務や過酷な現場にも耐えられる心身のタフさがある人。
  • 向上心 日進月歩の救急医療について、常に学び続ける意欲がある人。

女性救急救命士の働き方とキャリア

「救急救命士は男性の仕事」というイメージがあるかもしれませんが、現在では多くの女性救急救命士が全国の消防署や病院で活躍しています。

女性ならではのきめ細やかな対応や、女性の傷病者が安心できるといった点で、女性救急救命士の存在は非常に重要です。産休・育休制度も整備されており、多くの消防本部で女性が働きやすい環境づくりが進められています。体力面での不安を感じるかもしれませんが、日々のトレーニングやチームでの連携によって十分にカバーできます。

救急救命士に関するよくある質問

最後に、救急救命士を目指す方が抱きがちな疑問にお答えします。

独学で資格は取得できますか?

いいえ、独学だけで救急救命士の資格を取得することはできません。

救急救命士国家試験の受験資格を得るためには、必ず国が指定した大学や専門学校、養成所などの養成課程を修了する必要があります。これは、専門的な知識と高度な技術を体系的に学ぶことが不可欠だからです。

高卒から目指す場合の最短ルートは?

高校を卒業してから最も早く救急救命士を目指すルートは、救急救命士養成専門学校に進学することです。

卒業と同時に国家試験の受験資格が得られるため、ストレートで合格すれば20歳で救急救命士の資格を手にすることも可能です。在学中に、消防の採用試験を受験できます。

救急救命士の多くは公務員(消防士)ですか?

はい、その通りです。

救急救命士の資格を持つ人のうち、**大多数は各自治体の消防本部に所属する消防士(地方公務員)**として働いています。そのため、救急救命士として働くことを目指す場合、多くは公務員試験の突破も必要になります。たとえ救急救命士の資格取得中であっても、現在は多くの自治体で「救急救命士」採用枠がありますので、採用率は高くなっています。もちろん、前述の通り、病院や民間企業など、消防以外の道も開かれています。

まとめ

救急救命士になるには、まず国家試験の受験資格を得る必要があり、そのためには大きく分けて3つのルートが存在します。

  1. 救急救命士養成課程のある大学に進学する
  2. 救急救命士養成の専門学校に進学する
  3. 消防士として採用後、養成を受ける

どのルートが最適かは、あなたの年齢や学歴、ライフプランによって異なります。それぞれのメリット・デメリットをよく理解し、自分に合った道を選ぶことが、夢を実現するための第一歩です。

救急救命士は、大きな責任と厳しさを伴いますが、それ以上に「命を救う」という尊いやりがいに満ちた仕事です。この記事が、あなたの挑戦を後押しする一助となれば幸いです。

医療系の国家資格取得を目指せる

長野救命医療専門学校

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変化の激しい医療現場において、即戦力として活躍できる救急救命士・柔道整復師。学生同士や教職員との触れ合いを大切にした学生生活の中での様々な経験を通し、社会人に欠かせない豊かな人間性を育成します。また、本校は学生の支援のために各種認定を受けています。